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化粧文化 COSMETIC CULTURE
コスメのある風景
大切な紅猪口を手にするとき

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大切な紅猪口を手にするとき

2022.05.19

白・黒・赤の三色を用いる日本の伝統化粧において
紅化粧は唯一彩りを加えるもの。
唇や目もとに紅をさす......もっとも気持ちが高まるときです。

これは紅化粧に使う「紅猪口」。
内側には紅が塗られていますが
日に当たると色が褪せてしまうため、
常に器を伏せた状態で鏡台などに置かれていました。

この紅猪口は「京都紅平」、京都にあった紅屋平兵衛のものです。
生花のベニバナからごく少量しか抽出できないため
貴重で高価な商品だった紅。
中でも京都の紅は質が高く、江戸時代の女性たちにとって憧れでした。
京都からのおみやげなのか、自分で買い求めたのか......。
緻密な彩色が施されたこの伊万里焼の紅猪口を
持ち主の女性が大切にしていた姿が浮かんできます。

江戸時代の紅屋では、空になった器を持って行くと
また紅を塗り付けてもらえました。
お気に入りの紅猪口は
ずっと長く使い続けることができたのです。

指や筆を水で湿らせ、少しずつ紅を溶いて唇を彩るとき。
鏡の中の変わっていく表情を見るとき。
自分に向き合う時間の高揚感にずっと寄り添ってきた紅猪口です。

松鶴文様伊万里染付紅猪口 江戸時代末~明治
Photo YURI MANABE

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