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2025.06.25
今では当たり前になった「女性が仕事を持つ」ということ。
その先駆けとなった「職業婦人」というライフスタイルは、大正時代に生まれました。
そして、社会進出を果たした女性たちのファッション、髪型、化粧は、都市化・西欧化が進みます。
特に化粧は、「健やかな素肌」に関心が向けられるようになり、
そのための石鹸、化粧水、クリームなどが数多く販売されました。
なかでも一世を風靡したのが、
平尾賛平商店が大正4年に発売した化粧液「レートフード」です。
「レートフード」は、塗ると「ほんのりと色を白くする」と謳った化粧液。
広告には「素顔美の要望は萬人が萬人の共通」、
「厭味のない隠し化粧液」「きめを細かにし艶々しき色艶」などの言葉があり、
当時の人たちが、自然な白さやキメ、ツヤといった、
現代の私たちに通じる素肌美を求めていたことが想像できます。
そしてもうひとつ注目したいのは、
女子学生、男子学生、大人の男性の使用を提案していたこと。
「美を好むは人間の本性の然らしむる処で其処に何等男女の差別はない」
という広告の一文は、現代を生きる私たちにも響くもの。
業界を牽引したブランドは、考え方も一歩先を歩んでいたようです。
化粧液 「レートフード」
平尾賛平商店 大正時代
Photo YURI MANABE