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平安時代へといざなう香箱

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平安時代へといざなう香箱

2022.01.13

扇は別名を「末広」というように
招福や繁栄を表す吉祥のモチーフとして
古くから親しまれてきました。
この華やかな箱は、扇面を模ってつくられた「香箱」。
お香を納める香道具です。

貴重なお香を納めておくため
気密性の高い合口造りになっています。
扇の骨や合口の部分には銀が用いられ、
大粒の蒔絵粉が箱全体を彩ります。
描かれているのは平安貴族の庭。
右側に殿舎、左側には大きな枝ぶりの松や
花が咲き始めた梅の木......。
よく見ると、梅には鶯がとまっています。

この意匠の題材は『源氏物語』の「初音」巻。
光源氏が住まう六条院の、元日の情景が描かれています。
「初音」とはその年初めて聞く鳴き声のこと。
明石の君が愛娘への愛情を詠んだ歌に登場する鶯も
新年の訪れを祝福しているのでしょう。

祝賀の気持ちがこめられた
優美で雅やかな意匠の香箱です。

扇形初音蒔絵香箱 江戸時代~明治時代
Photo YURI MANABE

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