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「花」と「夜」の名をまとう香水瓶

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「花」と「夜」の名をまとう香水瓶

2020.11.26

20世紀初頭のフランス。
コルセットを使用しないハイウエストのドレスを
発表したファッションデザイナーがいました。

その人の名はポール・ポワレ。

東アジアや中近東をインスピレーション源とした
緻密な刺繍や鮮やかな色彩、ゆったりしたシルエットのドレス。
社交を楽しむ上流階級の女性たちは
伝統から解き放たれたポワレのドレスに心を奪われました。

ポワレはファッションデザイナーとして初めて香水の制作を手がけます。
香り、ボトル、ケースすべてを監修し、完成した贅沢な香水が
この「中国の夜(ニュイ・ド・シノワ)」 です。

ケースに用いられた中国風の花文様の布は、
ポワレのテキスタイルブランドによるもの。
手になじむ扁平な形のボトルは
香りを楽しむ中国の嗅ぎ煙草入れ、
「鼻煙壺(びえんこ)」の形を模しています。
ラベルに書かれている文字は「花」、そして「夜」。
ベークライト製のキャップとリングは、
光に透かすと、夜空のように深い青色を見せます。

「中国の夜」をイメージするためにポワレが用いたのは、
白檀や ジャスミン、バニラといった東アジアやインド原産の香り。
さらにローズやベルガモット、アンバー、ムスクなども加え、
深く、印象的な甘い香りを実現しました。

パリのモード界に、新たな風を吹かせたポワレの
情熱がつまった逸品です。

香水瓶「中国の夜(ニュイ・ド・シノワ)」、
ロジーヌ香水(ポール・ポワレ主宰)、1913年
Photo YURI MANABE

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