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2026.01.28
こちらは、1820〜30年頃の飾り櫛。
紫色のアメジストを配したティアラのようなデザインは豪華でありながら、
ゴールドのボディ部分をよく見ると花文様の透かし彫りが施されており、
繊細な印象をもあわせ持つ一品です。
ではこの飾り櫛、いったいどんな装いにあわせて使われていたのでしょう?
この時代のモードの変遷を振り返ってみましょう。
この飾り櫛が使われていた少し前の時代、1789年〜1799年に
フランス革命が起き、人々の価値観は大きく変化します。
マリー・アントワネットの肖像画などに見られる
ロココ調のドレスと巨大なヘアスタイルというモードは衰退。
古代ギリシア・ローマを理想とした新古典主義が台頭した影響で、
ドレスも古代ギリシア風の、ハイウエストで直線的なシルエットをもつ
エンパイア・スタイルが主流になりました。
それに合わせて髪型も小ぶりなスタイルが流行します。

しかし1820年代末になると、ふたたびスカートの裾は広がって釣鐘型になり、
袖の膨らみが強調されたロマンティック・スタイルが台頭。
ドレスの装飾性に合わせ、高い髷や巻き髪といった
技巧的なスタイルが見られるようになりました。
この飾り櫛が使われていたのは、
まさにそんなロマンティック・スタイル隆盛の頃。
髪飾りも装飾性に富んだものが愛用された時代です。
持ち主だった女性は、この美しい飾り櫛をつけて、どこへ出かけていたのか...。
そんなことを想像しながら、見つめてみてはいかがでしょう。
花文透かし彫りアメジストつき金属製櫛 1820〜30年頃
Photo YURI MANABE