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化粧文化 COSMETIC CULTURE
コスメのある風景
大正時代のバニティケース

026

大正時代のバニティケース

2021.09.09

ピンクに青、赤の花々が華やかなこのケースは、
大正時代に人気を集めた「千代田袋」。
明治時代に流行した巾着袋「信玄袋」から発展したもので
現代のバニティケースのような携帯性を重視した化粧ポーチです。

口を絞ることができる上段は小物入れ。
しっかりしたつくりの下段は
どのようになっているのでしょうか。

留め具を外し、ケースを開くと現れるのは
顔全体を映し出してくれる大きな鏡。
底部には小さな化粧品のつめ替え容器と櫛が
機能的に収納されています。

大正時代は交通網が発達したことで、観光の楽しみが広がりました。
すると「千代田袋は旅行に最適」などと雑誌でも宣伝され、
女性たちの心をつかんだのです。
愛用する化粧品をコンパクトにまとめて携帯できる
千代田袋は、画期的な商品でした。

いつもの白粉や化粧水を
小さな銀製ケースやボトルに詰め替えて、
石鹸やクリームも入れて......。
流行の髪型に仕上げ、毛筋を整えるための
髪結い道具も必需品です。

文明開化以降の近代化と
伝統的な生活様式が共存していた時代。
モダンな柄の着物をまとい、旅行を楽しむ
最先端の女性たちが愛用したアイテムです。

千代田袋 大正~昭和時代
Photo YURI MANABE

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