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コスメのある風景
華やぐ夜会と飾り櫛

033

華やぐ夜会と飾り櫛

2022.11.17

1920年代フランス。
第一次世界大戦で中断していた
社交の場ににぎわいが戻ります。
女性たちはイブニングドレスの着用が解禁となり、
細いウエストにふんわりしたスカートの伝統的なシルエットや
ウエストラインが低めで直線的なアール・デコ様式など
思い思いのドレスでおしゃれを楽しみました。

ヘアスタイルの主流は
20世紀初頭に発明されたパーマネントウェーブでしたが、
戦後には斬新なボブスタイルも登場します。
しかし「短く髪を切る」にはたいへんな勇気が必要だったため
ウェーブヘアを後ろでまとめて
ショートに見せるボブ風のスタイルが流行。
このシニヨン部分に手のひらほどの
大きな櫛を横から挿すのが人気のスタイルとなりました。
さながら蝶のような美しさをふりまく女性たち。
断髪風の髪型を楽しむための美のイノベーションでした。

これは飾り部分だけで20cm程度の大きな櫛ですが、
セルロイド製で、驚くほどの軽さです。
セルロイドの飾り櫛はアメリカを中心に機械生産され、
イミテーションストーンでアレンジされました。
曲線の加工がしやすい材質の特性を活かした
複雑な透かし彫りが目を引きます。

待ち望んだ夜会の再開。
とびきりのドレスに、妍を競うアイテムを身に着けて...。
パフュームの香り、ワイングラスの響く音、
弦の調べや人々の歓声が聞こえてくるようです。
束の間の平和と華やぎを手に入れた時代を
象徴するような櫛です。

イミテーションストーン装飾セルロイド製アメリカ櫛 1920~25頃
Photo YURI MANABE

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